人間失格 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (1990年11月20日発売)
3.64
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本棚登録 : 8070
感想 : 948

学生時代に読んだと思うがあまり覚えておらず再読です。
今読んでもハードな内容だったので当時、もしかしたら最後まで読めてなかったかもと思いました。

「はしがき」と「あとがき」の間に主人公の葉蔵を写した三枚の写真の頃についての葉蔵の手記がある形式の物語。

「恥の多い生涯を送ってきました」から始まる手記には、少年時代から家族や周りの人に対してさえ怖ろしさを感じ、おどけてみせて過ごすしかできなかった葉蔵。
そうして成長してさらに、次々と陰惨な状態に陥る半生が克明に描かれてます。

主人公の葉蔵というキャラクターは、太宰自身を投影してるようでした。
この集英社文庫にはなんと、太宰治の娘さんの解説が巻末にありました。

太宰治の奥様ではなくて太田静子さんとの間の娘さん(1947年生まれの作家さん)の太田治子さんです。
この作品を通して父親についての思いや感想が綴られていて、読んでいてそれが胸にぐっときてしまいました。
例えば、小説での葉蔵の写真が醜く笑っていると描かれているところが娘の自分としてはおおいに不満だったとか、「空腹という感覚がサッパリわからなかった…」という作中の部分は信じられなくて腹がたったりしたとか。
それは太宰治はウナギが大好物だと、母から聞かされていたので、食べることに関心がない筈が無いのに大袈裟な強がりだな、と…。

それから作中のシズ子とその娘のシゲ子が白兎の子と遊ぶ姿をドアの向こうから、のぞきながら葉蔵が思うシーンが好きだとのこと。
(幸福なんだ、この人たちは。自分という馬鹿者が、この二人のあいだに入って、今に二人を滅茶苦茶にするのだ。つつましい幸福。いい親子。この幸福を、ああ、もし神様が、自分のような者の祈りでも聞いてくれるなら、いちどだけ、生涯にいちどだけでいい、祈る)

そして最後には…
太宰治の『人間失格』は何よりも私に「父性」について教えてくれた作品ですと、締められていました…






読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年11月21日
読了日 : 2023年11月21日
本棚登録日 : 2023年11月21日

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コメント 4件

かなさんのコメント
2023/11/22

チーニャさん、おはようございます!
映画は観たことあるけど内容は覚えてない(^-^;
たしか、娘の本棚にあったはず…
いつか読んでみようかなぁ…
いつになるかわからないけど(汗)

mihiroさんのコメント
2023/11/22

チーニャさ〜ん♡おはようございます(*^^*)
有名な作品だけど、小栗旬の映画で見ただけです(^_^;)
主人公は太宰さん自身を投影してるってよく言われてますよね。闇が深〜い。。
純文学はなかなか敷居が高いのですが、、そういえば私、乙女の本棚中断したままだ〜(*/-\*)
また再会しなくちゃと思い出しました(๑˃̵ᴗ˂̵)و

チーニャ、ピーナッツが好きさんのコメント
2023/11/22

かなさん、こんばんは!

やっぱり、内容覚えてないですよね。同じですね〜(笑)あ~映画、そういえばやってましたね…私は観てなかったんです…!
もう、だんだんと寒くなって来ましたよね。かなさんの方は、雪とか降ると大変でしょうね…。気をつけてくださいね。コメントありがとうございました…♡

チーニャ、ピーナッツが好きさんのコメント
2023/11/22

mihiroさ〜ん、こんばんは♪
あ〜、やっぱり観たんですね〰️。小栗旬ですか…♡
私は観てないので、読んでみました…(笑)
乙女の本棚も私も中断してます…同じですね(笑)
今日も一日お疲れ様でした〜。コメントありがとうございました♡

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