この本(単行本)の初版が1964年で、それがろう歴史の中で大きな「蛇の目寿司事件」より1年前。
作者は元々聴覚障害者が差別の目にさらされていることに何かしら思っていたからこその話なのだなと思います。
この本の出版当時の聾学校でさえ「日本語>手話」の考えだったのですし、無理はないですが、手話の重要性までは踏み込まれていません。ですが、「ツンボ」という言葉が当たり前のように使われていた時代の中では、聾児教育や聾者の雇用について問題提起されている話です(当時では、最先端なんじゃないかと!!)。
今とは時代が違い、考え方も更新されたためか、本も絶版になってしまってます。けれど、聾者を取り巻く差別の歴史に触れるにはとても良いと思います。当時の聴覚障害者の差別に関する時代背景や江東区の街の様子、女性の見られ方についても平行して調べて読むと面白いかもです。
勿論、ミステリーとしても充分面白かったです。
絶版なのが勿体無い……!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2020年2月23日
- 読了日 : 2020年6月26日
- 本棚登録日 : 2014年9月21日
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