昭和史 1926-1945 (平凡社ライブラリー)

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  • 平凡社 (2009年6月10日発売)
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再読。再読ではあるが、最初に読んだのが2007年、今から15年前のことなので、新たに読むのと同じ感覚で読んだ。
昭和時代である、1926年から1989年が2冊に分けて書かれている。本書はその上巻で、1926年、昭和元年から、1945年、すなわち太平洋戦争終結までを描いている。何故、このような無謀な戦争に突入し、作戦的にも過ちを繰り返し、かつ、悲惨な状態になるまで戦争を辞められなかったのか、ということが主題である。
少し前に、「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」というNHKが取材し何冊かに分けて書かれた同じテーマの本を読んだ。「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」の方が、その理由を分析的に書いているのに対して、本書は実際に起きたことを読みやすく整理して書いてくれているところに違いがある。
筆者の半藤一利は、「それにしても何とアホな戦争をしたものか」という一語があるのみ、と書いている。本書を読むと、その言葉の実際に意味するところが非常によく分かる。
あえて、という形で教訓を探すとすればとして、下記の5つを挙げている。
1)国民的熱狂をつくってはいけない。その国民的熱狂に流されてしまってはいけない。
2)最大の危機において日本人は抽象的な観念論を非常に好み、具体的な理性的な方法論をまったく検討しようとしない。
3)日本型のタコツボ社会における小集団主義の弊害
4)国際的常識を日本人はまったく理解していなかったこと。国際社会の中の日本の位置づけを客観的に把握していなかったこと。
5)何かことが起こった時に、対症療法的な、すぐに成果を求める短兵急な発想

そして、ここまでの昭和史を通しての結論は、「政治的指導者も軍事的指導者も、日本をリードしてきた人びとは、なんと根拠なき自己過信に陥っていたことか」と結んでいる。
これは、バブル熱狂からバブル崩壊、その後の日本の経済的低迷状態の記述としてもあてはまる部分があるような気もする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月22日
読了日 : 2022年2月22日
本棚登録日 : 2021年8月8日

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