中学2年の頃に出会った、今でも1番好きな本。
エカ、マル、オズ、シバ、全員がたまらなく愛しい。ページをめくればいつでもみんなに会えるので、繰り返し繰り返し読んでいる。
エカの優しさは愚かで柔らかい。
春、薄靄のかかった朝の空気。
マルの甘さは生温く弱々しい。
夏、じっとりと湿った真昼の空気。
オズの穏やかさは保守的で鈍く痛む。
秋、爽やかでさみしげな夕暮れの空気。
シバの痛々しさは苦く鋭い。
冬、はち切れそうに血の巡る真夜中の空気。
それぞれの季節と彼女たちの心が等身大の女子高生を描いている。ありがちな、「他人とは違う自分」を求める青春ストーリーではない。彼女たちは何も手に入れないし、何も変わらないのだから。自分を受け入れるための高校3年間。特別なことなどなくてもエスペシャリーを望む少女の叫びは、悲痛なだけではない。また歩き出せる、そう思える大切な作品。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
女子高生
- 感想投稿日 : 2017年5月15日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2017年5月15日
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