オクタヴィアヌスの権力掌握過程を書いている。前巻でアントニウスに勝利し、ローマの第一人者となったオクタヴィアヌスだが、カエサルの様にズバッと改革をするのではなく、「合法を積み上げて」一身に権力を集めていく。はじめは元老院に妥協するような形をとる。情報公開については、決議や発言を広場に貼り出すのではなく、公文書館に保存するという形で穏健な情報公開に変更し、元老院の議員をスリム化し、「共和政復帰宣言」をする。その三日後「アウグストゥス」の尊称を送られ(るように画策)、執政官であるうちに補佐機関である「内閣」を創設し、護民官の特権(身体不可侵・拒否権の発動)を取得する。内政では、国税庁の創設・通貨改革・選挙改革・食糧確保などを行った。外政では、スペインおよびガリアの再編、エジプトの灌漑および自営農の創出、戦闘をせずにパルティア問題を解決、ユーフラテス川を国境に定めた。軍縮にも20数年をかけてとりくんだ。カエサルとはちがうタイプの指導者だが、なかなか堅実な人である。アウグストゥスは自己抑制能力に優れていて、「わたしのことを悪く言う人がいても憤慨してはいけない。満足しようではないか、彼らがわれわれに剣をむけないというだけで」と養子のティベリウスに書いている。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2012年4月6日
- 読了日 : 2012年4月6日
- 本棚登録日 : 2012年4月6日
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