はじめてこの作品を読んだ頃、大滝党首のいう「やまと保険」の仕組みがよくわからなくて、何度も考え込んだのを覚えている。今読んでも僕の浅い知識ではもうひとつイメージがはっきりしないけど、まったく新しい発想の安全保障だという印象は強い。現実のものにならないのは、やっぱり実際には無理があるからか、これだけも覚悟を決めることが実際には誰もできないからか。大滝の魅力は、こういう奇想が出てくるところと、それをきわめて魅力的に語り人を納得させていくところだろう。テレビ討論会での、最後の彼の発言は、取りようによっては何もいっていないことになるのかもしれないが、僕にとってはとても魅力的だ。
コミックの中とはいえ、これだけ堂々とした選挙を見せられると、なんだか悔しくなる。悪役扱いの海渡幹事長でさえ、彼の心の中にあるのは私心ではなく、日本をどうしていくのかという切実な危機感であり、そのためには汚名をきることを覚悟さえしているのだから。
イギリスのロイド保険の役割などをみていると、少し前に登場したフランスと同様、さまざまな国を定義づけをして、物語の中に取り込んでいることがわかる。よくできているし、いい感じだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
コミック
- 感想投稿日 : 2012年7月7日
- 読了日 : 2012年7月5日
- 本棚登録日 : 2012年7月6日
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