アカガミ

著者 :
  • 河出書房新社 (2016年4月9日発売)
3.19
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本棚登録 : 788
感想 : 139

近未来の日本を描いた小説。SFの要素が大きいながら本当に将来の日本にこのような制度ができてしまうのではないかと感じる。
少子化が進み、若者が異性への興味も結婚にもそして「生きる」と言うことにも興味がなくなり、若者の自殺者が多い未来の日本。
そこに登場するのが「アカガミ」という制度。コンピュータ等により自分に最適と思われる異性を紹介され、結婚、妊娠して子供をもうけるというシステムだ。言うなれば、現代のお見合い制度や婚活産業を国が率先して行うということ。ここで出会う若いカップルの恋愛小説のように思われるのだが、終盤は…というお話である。
若い二人の出会いと恋愛に至る初々しい感情の変化などまるで初恋物語のようである。その感情表現はきめ細やかで、恋愛小説としても文学的に卓越した文章だと感じた。
最後に二人の取る行動はSFとはいえ、「愛」の物語の結末ともいえるものだろう。
恋愛小説としても、SF小説としても楽しめる作品だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年3月24日
読了日 : 2019年3月24日
本棚登録日 : 2019年3月24日

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