愛すべき娘たち (Jets comics)

  • 白泉社 (2003年12月19日発売)
4.02
  • (492)
  • (280)
  • (431)
  • (10)
  • (5)
本棚登録 : 2703
感想 : 313

2022.10.10市立図書館 →購入済
(よしながふみさんの最新刊インタビュー本を読む前に過去の作品をさらっておいたほうがよさそうなので借りられるものを順番に読む)

初出:メロディ(2002年7月号〜2003年10月号まで随時)の連作短編集。雪子を狂言回しに、家族や友人の女たちとの間の愛憎や友情などさまざまな「愛のカタチ」が描かれている。
それぞれの短編でさまざまな年代、さまざまな問題を扱いつつ、6編を通してある母娘の微妙な距離がちょっと縮まる局面をていねいに描いていて、物語の構成・展開といいキャラ造形といい手練れというほかない。

第1話 如月雪子(娘)と麻里(母)と母の若き再婚相手(大橋健)
第2話 和泉清隆(大橋の友人)と滝島舞子(教え子)
第3話[前編]若林莢子(雪子の大学の友人)の見合い行脚
第3話[後編]若林莢子(雪子の中学の友人)続き
第4話 牧村優子と佐伯友惠(雪子の中学時代の友人たち)の生き方
最終話 雪子の祖母の女学校時代の経験と娘(麻里)の育て方

第3話の、マルクス主義者の祖父の薫陶を受けた孫娘がだれにも分け隔てなくを目指した結果、恋や結婚が選択できなくなって修道院に入ったしまうというのは、ちょっと他人事とは思えない話だった。(どうでもいいことだけど、莢子とか雪子とか、かつて娘たちの名前の候補にあげてた名前ばかり…)
あとすごいのは最終話、「母というものは要するに一人の不完全な女の事なんだ」、母親を反面教師にした娘の子育てという循環のなかで、完璧な親なんてどこにもいなくても仕方がないよねぇという諦念が伝わってきた。これは手元においてときどき読み返したいかも。
高3の次女もおもしろく読んでるようだし。

「分かってるのと許せるのと愛せるのとはみんな違うよ」とさらっと言えちゃう大橋健ができすぎ〜。やっとの時代劇デビューは大奥の第十四代家茂っぽくてどこかにスピンオフないのかなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック
感想投稿日 : 2022年10月10日
読了日 : 2022年10月14日
本棚登録日 : 2022年10月10日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする