地域アート――美学/制度/日本

  • 堀之内出版 (2016年3月10日発売)
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思弁的実在論(人類が誕生する前から、また人類が滅亡した後も、「世界」は実在する)がすごい速さでアートの世界でも広がっている85

アートと政治。美学と政治はイコール。「虚構の二つの形式」176

「出来る範囲のコミュニケーション」は悪(もっと言えばファシズム)だ。「出来る範囲」から外に出ていかないのが日本の地域アートの問題。「出来る範囲」を越えると「敵対性」が生じる。それで殺人が起きないのは(範囲を越えたのがアートだから)「良き政治」が宿るから。179

アートは今、特権的な才能によって制作され、一部の者たちに所有され正当化されてきたかつてと異なり、そうしたかつてのアート概念を根底から解放する方向に移行している250藤井光

アートを誘致すれば地域が活性化する、これはアジアに膨張していった近代思想と似ている。戦前は「天皇」という装置で人を動員した。現在は「アート」で動員している263藤井

著者が対談の中で「地域アートに批評性が足りないんじゃなくて、批評家が力量不足(前時代的なロマン主義や、権力への批判性がアートの必須条件であると思っていること)なんじゃない?」と言われてしまう290藤井

公共事業の大規模なアートイベントなどが増えて、その中でアーティストは自分たちを取り巻く政治性を自覚している。そこではアーティストは、代替可能な認知労働者という弱い立場である。表現の独立性を保証する制度も無いのだ、検閲や自主規制の論理がとおる。今出来るのは!その置かれた立場を確認し合うこと295藤井

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年11月18日
読了日 : 2021年11月23日
本棚登録日 : 2016年6月6日

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