自閉症: これまでの見解に異議あり! (ちくま新書 609)

著者 :
  • 筑摩書房 (2006年7月1日発売)
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心身障害児施設で働いた経験をもつ著者が、自身の自閉症に対する考えを、これまでの社会で語られてきた研究対象としての「自閉症」の捉え方に異議を唱える形で述べている。

知的障害との違い(知的世界におけるおくれ=知的障害、社会機構におけるおくれ=自閉症)すらも理解できていなかった自分にとっては、自閉症のみならず、あらゆる理由で社会に対して壁を持つ人々について考察するきっかけとなった。
これまであたりまえの「症状」「病名」としてしか見てこなかった「自閉症」という言葉が、その実態を十分に見据えないまま医者・学者・政治機構によって名づけられたものであることを指摘している文章には、考えさせられるものがあった。
一方で、自閉症の子を持つ親にとっては、「自閉症」という病名が免罪符としても必要とされているという点には、どうするのが正しいと一面的に断ずる事の出来ない障害者問題の難しさが表れている。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 評論
感想投稿日 : 2013年10月30日
本棚登録日 : 2013年10月30日

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