司馬遼太郎の『アメリカ素描』の視点を援用しながら、ウェブというシステムやそれが生み出した社会のあり方をスケッチした本。
オープン、ネットワークといった技術的な基盤としての特性だけでなく、そのうえで展開されるファンドレイジング、データのアーカイブ、起業といった活動が、ウェブ以前のアメリカの文化とも繋がりを持っており、そのような基盤の上に生み出されたものだということがよくわかる。
本書は、2010年~2013年の連載をもとにしているため、オバマ前大統領のソーシャルネットワークを活用した選挙が肯定的に描かれているが、その後の分断するアメリカ社会の状況は描かれていない。
しかし、これまでのアメリカも南北戦争のように国家を二分する大きな分断の時代を経験しており、その度にまた新たな社会のシステムや価値を生み出してきた。ウェブの誕生、隆盛とその後のアメリカ社会の分断も、そのような長い視点で見ればアメリカが新たな時代へと移り変わるプロセスなのではないかと感じた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2019年4月13日
- 読了日 : 2019年4月12日
- 本棚登録日 : 2019年4月10日
みんなの感想をみる