HUMAN+MACHINE 人間+マシン: AI時代の8つの融合スキル

  • 東洋経済新報社 (2018年11月23日発売)
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AIが仕事の中に浸透してくること起こることとは、人間の仕事がAIによって取って代わられるのではなく、人間とAIが協力しながら課題を解決していく働き方が新しく生まれるということなのだというのが、よく分かった。

そのような新しい働き方が生まれる領域というのが、「ミッシング・ミドル」と筆者が呼ぶ領域である。

そのような領域において人間は、
・人間社会に適応した「責任あるAI」を実現するためにAIをトレーニングしたり、AIの働きを説明したり、AIが「正しい道」を逸脱しないようにガイドレールを敷く役割
・AIと協働することで、これまでに不可能だった創造力を得たり、AIと対話することで個人の経験値を超えた多くの情報をもとにカスタマーサービスを行ったり、究極的なカスタムメイドの生産活動を行うことができたりする能力
といった役割や能力を発揮することが期待される。

このようなAIとの共同作業を実現するためには、仕事における業務プロセスも、根本から見直していく必要がある。

これまでの業務の一部をAIに代替することで効率化を図るというのはなく、業務プロセスの中心的な部分に実験やデータの活用による創造的な仕組みを取り込むことが大切である。なぜなら、そのようなプロセスこそ人間とAIの協業が最も力を発揮する分野であるからである。

そして人間の側も、従来の働き手に求められていたスキルセットではなく、AIにトレーニングをしたり、合理的な仕事でAIから最適な答えを引き出したり、マシンの出力してくる情報をもとに適切な判断を下すといったスキルを、より多く求められるようになる。

ある意味、人間的な要素を強く持った能力が求められるようになると言えるだろう。

AIの進展はおそらく不可逆的に進んでいくだろうが、それによってこれまでビジネスの領域ではあまり顧みられることのなかった人文系の専門性や、高等教育ではなくむしろ幼児から初等教育の中で身につけられるコミュニケーション能力やチームワークといった事柄が、改めてスポットライトを浴びる時代になってくるとよいと感じた。

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感想投稿日 : 2019年12月14日
読了日 : 2019年12月8日
本棚登録日 : 2019年12月1日

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