なぜ、植物図鑑か: 中平卓馬映像論集 (ちくま学芸文庫 ナ 14-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2007年10月10日発売)
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本棚登録 : 257
感想 : 15
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端的に言えば、写真から情緒や自我を排除して、冷徹にあるがままを淡白に写せばよい、という方向性を表明している。図鑑の写真のように「悲しそうな」とか「華やかな」などの感情や作者性などを持ち込むのをやめたいという欲求。とは言え、自身の周辺や経験、現代思想からの影響、自分語りなどの紆余曲折も絡めたエッセイであり、写真論にまで昇華されていない印象がある。つまりこの本そのものが、中平卓馬自身のエゴの表出に留まってしまっている。口上は無用、無言でシャッターを押せ、と言いながらも長い長い説明をせずにはいられない。しかしその数年後、皮肉にも思わぬ形でその思いは成就されたのかもしれない。特異な一生だったのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 処分済み
感想投稿日 : 2020年4月18日
読了日 : 2020年4月18日
本棚登録日 : 2020年4月18日

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