ラジオラジオラジオ!

著者 :
  • 河出書房新社 (2016年6月18日発売)
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本棚登録 : 329
感想 : 43
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『ラジオラジオラジオ!』と『赤と青の物語』の2編が収録されています。

表題作は、ローカルのFMラジオのパーソナリティーを務める女子高生、華菜のお話。
華菜は東京に憧れていていつかはマスコミ関係の仕事をしたいと思っている。
その足掛かりに友達の智香を誘ってパーソナリティーに応募。
週一でラジオをすることに。

ただ高3で受験生ということもあり、智香がラジオから抜けたいと言い出す。
華菜は人と違う人間だってことに重きを置いてるというか個性的と思われたいって欲望がつよくてわりと他人に興味がない。

そんな中、友人のアヤちゃんがフラれたことをラジオで話したことで露呈していく。

大人の友人である、なつねえさんと付き合うのも実は自分のため。
自分本意だということに気づいた華菜。

高校生のときってこういう自己顕示欲みたいなもの、たしかにあるかもなーと思った。
なんか痛い。少しひりひりした。

でも初めて生放送でやったラジオは好感が持てたかな。

この経験を通して華菜が成長するといいなーと感じたラスト。


『赤と青の物語』は物語が禁止されまったくない時代に育った中学生の赤と青のお話。
赤と青というのはあだ名のようなもので、赤が女の子、青が男の子。

いつも図鑑を図書館で読んでいた二人。
青が図書館の地下には物語があると知り、ふたりは夜の図書館へ忍び込む。

そこで見つけた物語を貪るように読むふたりはネガティブなことを考え、それを実行しようとしていたのをやめることを決意する。

物語の持つ力というのは、本当にあると思う。
勇気付けられたり、元気をもらったり。
フィクションの世界に救われることはあるから、物語がない世界なんて本当に考えられないし、そんな世界嫌だなーと思った。

物語のおかけで、前向きになれた二人はすごく素敵でした◎
読み終わった後、ほっこりと温かい気持ちになりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年8月20日
読了日 : 2016年8月20日
本棚登録日 : 2016年8月20日

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