日本を捨てた男たち フィリピンに生きる「困窮邦人」

著者 :
  • 集英社 (2011年11月25日発売)
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感想 : 96
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凄い、圧倒された。日本を離れ、フィリピンでホームレスのような生活を送っている数名を追ったルポ。
誰も彼もどこか狂っている、単純に言ってしまえば知能に障害が多少あるのだろう。しかしそれを理由に彼らを責める事は出来ない。恐らく日本でいたならば生活保護なり、国家の福祉のセーフティネットに引っかかり最低限の生活は出来たのだろう。
彼らは異国の、途上国の、フィリピンにいるのだ。その為に公的な支援を受けられずにいる。その彼らを支えているのはフィリピンの人々である。本書の中で触れられていた人々は決して経済的に豊かではないにも関わらず、同じ最底辺にいる彼らを支援している。中には言葉も通じず、感謝もしない彼らを。これが仮にフィリピンに根付いたキリスト教に基づく「隣人愛」ならばなんとも美しい。私にはキリスト教の「愛」とフィリピン人の生来の温かさによるものだとは思うが素晴らしい。
しかし一方で日本大使館は税金で彼らを救う事は「自己責任」で海外に来て放蕩した結果であるから救えないという。日本で生活保護を受けているフィリピン人世帯が4万人との記事を見たが、日本人としてやっている事があべこべでは?今後日本政府による困窮邦人の救済をして頂きたい。

本書はテーマが重く、救いのない話でばかりで読後感はあまり良くない。しかし著者の力量と熱意を強く感じるルポであった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年3月30日
読了日 : 2018年3月30日
本棚登録日 : 2018年3月30日

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