きみは赤ちゃん (文春文庫 か 51-4)

著者 :
  • 文藝春秋 (2017年5月10日発売)
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感想 : 233
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山崎ナオコーラさんの『母ではなくて、親になる』を読んでえらく感動したけど、川上未映子さんの文章はちょっと合わないなと感じた。

自分が助産師であるからか、事実と異なる部分が気になって内容に集中できなかった。看護師さんは内診しないし、そもそもこの本には一度も「助産師」が登場しないのが、職業柄気になった。産院のスタッフの台詞も、本当にそんな言い方するかな?と疑問がたくさん。実際は言ってなくても、聞いた方は主観で受け取りアウトプットするので、自分の発する発言はより丁寧にしないとな・・と強く思った。それにしても、医療監修とかはつかないのだろうか?小説家の発言は影響力があるので、主観と事実はしっかり書き分けた方がよいと思った。

また、自分が妊娠していなければ、もう少し客観的に読めたかもしれないが、妊娠している今は、どうしても自分の状態と比べてしまう。そのノーテンキさと、天真爛漫と言ってもいい好き放題の妊娠中の過ごし方に、少しいらついてしまった。
産後クライシスのことなどは、率直で素直な気持ちを書き綴っていてノーテンキな妊娠生活理想とのギャップ、という意味ではよかったが、なんだか騒がしくて疲れた。夫はとてもいい人。ネットの素人の掲示板でも読んでいるような気分だった。

ただ、杏ちゃんがこの本をYouTubeで紹介している動画を見て、少しだけこの本の良さが理解できた。
産後って、頭が働かなくて本も全然読めなくなる。そこへこの口語体の読みやすい(と言えなくもない)文章は共感を誘う。あなただけじゃないよ、と背中を押す育児中のママへの応援歌だと思えば少しはいいかな。

それにしても、この本を結構周りの男子が絶賛しているのが不思議でならない。(逆に女子からは評判が悪い)
独身の男子の友人から薦められて借りて読んだが、彼が一体このどこらへんに共感したのか、是非とも今度聞いてみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月24日
読了日 : 2020年8月17日
本棚登録日 : 2020年8月17日

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