海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年 1 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2009年5月28日発売)
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感想 : 127
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中公文庫版では上下巻だったのに、新潮文庫版では6分冊になって
いる。各巻250ページ前後なのだから、これは分冊し過ぎだろう。
既に中公文庫で読んでいるのだが、友人からもらったので再読。

「蛮族が攻めて来たぞぉ」と海に逃げ、沼沢地にえっさえっさと
国を作り、潟という自然の要塞に囲まれたヴェネツィア共和国。

海洋国家として栄えた国が、ナポレオンに滅ぼされるまでを追った
歴史小説である。

「まずヴェネツィア国民、次いでキリスト教者」

同じキリスト教の土地に攻め入ったことがローマ法王の逆鱗に触れ
破門される。

でも、ヴェネツィアはうろたえたりしない。自国の実利の為なら、
信仰さえも二の次なのだ。

なんて素敵な考え方なんだろう。好きだなぁ、こういうの。

さて、歴史的には悪評芬々の第4十字軍。騎士道精神溢れるフランス
人が中心になって結成されたのだが、いかんせん資金がない。

その資金を貸し付けたのがヴェネツィア。そして、共和国の元首自ら
も艦隊に乗り込む。

80歳を超えた盲目に近い元首、エンリコ・ダンドロ。十字軍の契約書
に明確な目的地の記載がなかったのをうまく利用し、十字軍に便乗して
ヴェネツィアの交易の拠点を築いてしまう手腕はお見事。

「立ってるものは親でも使え」と言うが、自国の為ならなんでも
利用しちゃうのさっ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史(世界)
感想投稿日 : 2010年7月9日
読了日 : -
本棚登録日 : 2010年7月9日

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