中公文庫版では上下巻だったのに、新潮文庫版では6分冊になって
いる。各巻250ページ前後なのだから、これは分冊し過ぎだろう。
既に中公文庫で読んでいるのだが、友人からもらったので再読。
「蛮族が攻めて来たぞぉ」と海に逃げ、沼沢地にえっさえっさと
国を作り、潟という自然の要塞に囲まれたヴェネツィア共和国。
海洋国家として栄えた国が、ナポレオンに滅ぼされるまでを追った
歴史小説である。
「まずヴェネツィア国民、次いでキリスト教者」
同じキリスト教の土地に攻め入ったことがローマ法王の逆鱗に触れ
破門される。
でも、ヴェネツィアはうろたえたりしない。自国の実利の為なら、
信仰さえも二の次なのだ。
なんて素敵な考え方なんだろう。好きだなぁ、こういうの。
さて、歴史的には悪評芬々の第4十字軍。騎士道精神溢れるフランス
人が中心になって結成されたのだが、いかんせん資金がない。
その資金を貸し付けたのがヴェネツィア。そして、共和国の元首自ら
も艦隊に乗り込む。
80歳を超えた盲目に近い元首、エンリコ・ダンドロ。十字軍の契約書
に明確な目的地の記載がなかったのをうまく利用し、十字軍に便乗して
ヴェネツィアの交易の拠点を築いてしまう手腕はお見事。
「立ってるものは親でも使え」と言うが、自国の為ならなんでも
利用しちゃうのさっ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史(世界)
- 感想投稿日 : 2010年7月9日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2010年7月9日
みんなの感想をみる