☆を2つにするか3つにするか。
岩井さんのちょっとした言い回しに、やっぱりこの人の文章は大好きと思わせてくれる。
ホーチミンという街の薄汚れているようで、その割に街にあふれる若い人たちのこぎれいなバイクやパリッとした白いシャツといった清潔感。
そういうあの街の、私って、結局、アジアの方が落ち着く・・・と思えてしまう匂いまで、懐かしく読みました。
雰囲気も心情も出来事も何もかも小説・・・私小説として十分成り立っているので、ケチをつけることもないのですが。
☆の数で悩んでしまうのは、読みたい小説ではなかった・・・という勝手な期待に肩透かしをくらったからでしょう。
ついつい、岩井さんの小説には、劣等感やそれゆえの優越感を振り回したり振りかざしたりする他人を冷静に見て、それでいて相手をののしるのではなく、あくまでそれを他人の問題として、自分を振り返る鏡に昇華させる主人公を期待してしまうのです。
でも、そうですね。
こんなに好きな作家さんのちゃんとした作品に、☆2つってことはないとおもうので、減点なしという意味で☆3つにします。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2010年3月9日
- 読了日 : 2010年3月9日
- 本棚登録日 : 2010年3月9日
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