構造主義的日本論 こんな日本でよかったね (文春文庫 う 19-5)

著者 :
  • 文藝春秋 (2009年9月4日発売)
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外国語を学ぶ時に、私たちはまずストックフレーズ丸暗記から入る。それは外国語運用の最初の実践的目標が、もうわかったよ、君の言いたいことは、と相手に言わせて、コミュニケーションを打ち切ることだからである。
人生とはそういうことの連続だから。シンプルでクリアカットで矛盾的な行動規範だけを与えられて育った子供はそういうことに対処できない。どうふるまっていいかわからないときに、子供はフリーズしてしまう。フリーズするかしないかはハードでタフな状況においては生死の分かれ目となる。
労働するのが人間なのだ。だから労働しない人間は存在しない。
強い個体とは礼儀正しい個体である。この理論はわかる人にはわかるし、わからない人にはわからない。
労働者=消費者を性差にも国籍にも人種にも信教にも無関係に全部同一規格で揃えてしまうことがグローバル資本主義の夢である。
ナチスの仮説が正しければ、ドイツ支配地域のユダヤ人がほぼ全滅した時点で真にドイツ的なドイツが顕現してドイツはその絶頂期を迎えるはずだったのだが、どういうわけか戦況は悪化した。この反証事例の説明に窮したナチスは、スターリンもチャーチルもルーズベルトもすべてユダヤ人の手先であるという説明を採用して破たんを粉飾した。
東アジアにはかつて中国を中華として、モンゴル、朝鮮、インドシナ半島、日本に及ぶ巨大な儒教圏が存在した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教養・学問・知
感想投稿日 : 2010年10月31日
読了日 : 2010年10月31日
本棚登録日 : 2010年10月31日

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