倫理21 (平凡社ライブラリー)

著者 :
  • 平凡社 (2003年6月9日発売)
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感想 : 17

我々が普通自由だと言っていることには、自殺もそうですが、原因がある。ただあまりにも複雑すぎるために、自由だと想像しているだけだと、スピノザは言った。
スピノザは17世紀のオランダにいたから、徳川時代の日本のことをかなり知っていて、日本人はキリスト教とでないにもかかわらず立派に道徳的ではないかと言っています。つまり大事なのは人が何をやっているかであって、それを自らどう考えているかではない、といったわけです。
サルトルは存在と無の段階では、自由と不安である対自存在は、互いに他を物化しようとして、つねに挫折せざるを得ないと考えていました。サルトルは積極的な倫理学を書こうとして挫折し、マルクス主義に近づきます。
ニーチェは道徳を超えた倫理性を提起しているのであって、現状肯定と関係ありません。ニーチェが反ユダヤ主義や国家主義を弱者の塊根として見ていたことを無視した。
仏陀やイエスの現行も死後のことでなく生きている間の倫理を説いている。あの世のことについて何も書いていない。そんなことは重要ではなかった。他者に対する倫理が重要だった。ユダヤ人で強制収容所から生還した人たちはある罪悪感を抱いた。彼らは自分が助かったことで、死んだユダヤ人に対して罪の感情を抱く。まるで自分らが彼らを殺したように。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 哲学・倫理・宗教学
感想投稿日 : 2010年11月13日
読了日 : 2010年11月13日
本棚登録日 : 2010年11月13日

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