クリティカルシンキング 入門篇: あなたの思考をガイドする40の原則

  • 北大路書房 (1996年9月1日発売)
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感想 : 66
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最近仕事上でまずは報告や情報を手早く理解しようと努めるためか、どうも批判的に見ることができず、詰めが甘くなっている気がしていた。何となれば、本書第3章の扉にある「何事もすぐに理解してしまう人は何も学ばないであろう」という状態になってしまっているのでは、という危機感を感じる場面が多かった。
そういうことで、いわゆる"クリティカルシンキング"については長らく気になっており、そういう問題意識を持った上でこの本を手に取ってみた。

この本は「入門編」となっており、クリティカルシンキングとは何か、因果関係の推定、他人の行動原因の理解、自分自身の省察、信念の分析、などについて説明されている。

例えば、原因帰属の4つの次元
・安定-不安定
・全体的-状況特殊的
・内的-外的
・コントロール可能-コントロール不能
を意識することなどは、自分の心の持ち方や他人の物事に対する反応を解釈する上で役に立ちそうだ。

また人間には「あらゆる人に認められたい」と「完全に有能で絶対に物事を達成しないといけない」という2つの大きな目標があるとし、この目標はある意味では実は非合理であるとする点もうなづけるところだ。
なぜならこれが昂じると、自分の目標ではなく、他人があなたにしてほしいことが目標になってしまうからだし、更に時に不必要に競争的な姿勢や気構えを取ることにもなるからだ。

最後に改めてまとめられたクリティカルシンキングの40の原則を読む返すと、なるほどと思う。こういうのは読んで理解するだけでなく実践によって身につけていくことが大切ではあるのだが。

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本書は和訳ものだが、訳者まえがきにある通り、日本の文脈にも合うように事例の一部を見直し、順序も変更しているという。原本との比較はできないが、訳者の意図は成功しているように思えて悪くない。
各章の終りに訳者が付記するまとめの図解も親切で、とにかくクリティカルシンキングのポイントを理解してもらおうと工夫する強い姿勢が見られて好ましい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2011年1月1日
読了日 : 2011年1月1日
本棚登録日 : 2011年1月1日

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