「実際には存在しない運命を想像するのが在日論」と定義しています。日本における在日論を、遠野と「遠野物語」の関係のように、認識が世界を後付けで作っていった、という展開を批判しています。
この認識の是非で、本書の印象はまるで変わるでしょう。姜尚中氏が在日の犠牲者性を代弁し、それがすべてであるかのように語ることがどうしても許せないと。
どんなに代弁的発信であっても、それがすべてか、真実かは、受け取るかは受け手の問題だと思うので、その点でスタート地点に違和感があります。
イジけるのをやめて、帰化した俺(著者)が偉い、という言説になってしまえば逆の批判も来るわけですが、そこに行かずに批判に徹しているのは、ずるいのか、凄いのか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2 歴史
- 感想投稿日 : 2012年3月20日
- 読了日 : 2012年3月20日
- 本棚登録日 : 2012年3月2日
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