ライナー・チムニク作、矢川澄子訳。
「ゆこう どこかにあるはずだ/もっとよいくに よいくらし!」太鼓を叩いてそう歌いながら、太鼓叩きたちは故郷を出て、山を谷を海を平原を行く。ときに施しを受け、ときには軍勢を蹴散らし、理想の土地を見つけたと思っては、失望することを繰り返し続ける太鼓叩きたちは、あっけらかんとしていながら物悲しい。所有の否定や階級の否定は共産主義的思想を思わせるけれど、漠然とした夢を追い、流離いの中に生きる姿は、もっと根本的な人間存在への寓意なのかもしれない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
児童文学
- 感想投稿日 : 2019年4月6日
- 読了日 : 2019年4月6日
- 本棚登録日 : 2019年4月6日
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