ぼくとペダルと始まりの旅 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2010年9月29日発売)
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本棚登録 : 96
感想 : 13
3

少年が、家族として誰よりも愛している美しい姉は精神を病んでおり、度々失踪してしまう。
父親は少年にラレーの自転車を与え、少年はその自転車で走り回り姉を探す。
見つけた時の姉は全裸で人形のように動かずにポーズをとっていたり、自傷の傷で顔が傷だらけであったり、髪を引き抜いていたり。
それでも少年はあるがままの姉を愛し続ける。

少年は大人になり、食べる事、お酒を飲む事だけを楽しみとし、ただただ太っていくのは、少年時代にあまりに強い苦しみを味わったためだろうか。
そして、姉は幸せな結婚をしたかに見えた直後に失踪。そのまま行方不明に。

両親を失い、行方不明になっていた姉も遺体で見つかっていたという通知を受けた40代になった彼は、120キロを超える巨体で少年時代の小さなラレーに乗って、ロードアイランドから姉の遺体が見つかったロサンジェルスまでがむしゃらに走る・・・

あらゆる場所で人に助けられ、自身も人を助けながらの旅は、救いもある。決して辛いだけのストーリーではないのですが、彼の旅と同時進行する姉の回想があまりに辛く悲しくて読むのを何度も中断しました。
でも、どこまでも続く長い道をひたすら自転車を漕いで走ってみたくもなります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2011年4月18日
読了日 : 2011年4月18日
本棚登録日 : 2011年4月12日

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