名画で読み解く「ギリシア神話」

  • 世界文化社 (2013年7月6日発売)
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「神々の上に君臨する女好きの最高神 ゼウスとは」

多くの絵画にその世界観を描かれているギリシア神話。今回ご紹介するのは全知全能の存在である神「ゼウス」の物語。彼が描かれた絵画も併せてお届けします。

 * * *

ゼウスは、ティタンのクロノスとレアの息子であったが、父クロノスを倒して、オリュンポス12神の最高神として君臨した。彼は雲や雨、雷など気象を自在に操ることができる天空の神で、ローマ神話に取り入れられると、ローマの全能神ユピテルと同一視された。

ゼウスの王宮はオリュンポスの中心にそびえ立ち、ほかの神々の宮殿と比べてもひときわ豪華なものだった。王宮の中央にある広間では、しばしば神々の宴が開かれ、その席でゼウスはごちそうや音楽、女神たちの優美な踊りなどを楽しんだ。また、ほかの神々との合議の上、今後世界に起きることを決めていた。とはいえ、ゼウス自身が世界の運命そのものを操っていたわけではない。世界が運命どおりに進行するように取り仕切っていたのである。

ゼウスは強力無比な至高神だったが、一方で無類の女好きの面があり、多くの女神や人間の女性を妻や愛人にした。

ゼウスの最初の妻は、知恵の女神メティスである。

ウラノスとガイアから、「いずれメティスから生まれる男子に王の座を奪われる」との予言を受けていたゼウスは、メティスを自分の腹のなかに取り込み、その知恵で窮地を助けてもらおうと考えた。そこで変身の能力を持つメティスをだまして水滴に変えさせると、それを一飲みにしたのである。

こうして知恵の女神メティスを体内に取り込んだゼウスは、メティスの持つ知恵を手に入れ、名実ともに神々の王として君臨した。

■ゼウスを鑑賞できる絵画
『悪徳を雷で打つゼウス』
作者:パオロ・ヴェロネーゼ
制作年:1553~1554年
所蔵先:ルーヴル美術館

~『名画で読み解く「ギリシア神話」』(吉田敦彦 監修)より抜粋

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2013年7~9月コラム
感想投稿日 : 2013年8月28日
読了日 : 2013年8月28日
本棚登録日 : 2013年8月28日

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