新しい歌をうたえ

著者 :
  • 新潮社 (1997年9月1日発売)
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感想 : 2

世も末だ。
そんな言葉が一般的に認知されているってことは、
世界はずっと「世も末」だったってことか。

………

 作家になるにはまずどうすべきか。好きな作家の略歴を見ると、
ほとんどが大学を出ている。しかも文学部が多い。
ぼくは、作家になるためには大学の文学部に入らなければならないと勘違いし、
翌年、電報配達でためたお金を持って上京し、受験勉強を始めた。
 それまでロックしか知らなかったせいで、勉強の世界は新鮮かつ魅力的だった。
受験勉強が何の役にも立たないなんて嘘だ。世界史は世界文学の理解に役立ち、
英語は英米文学の原書購読へとつながる。苦しいどころか、楽しくてしょうがない。
目的意識の有無が、勉強を楽しくも苦しくも変えてしまう。
最初のうち四十ぐらいしかなかった偏差値は順調に伸び、
憧れの大学を射程圏におさめるたびに、夢が一歩一歩近づいてくるような喜びを得た。

………

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: オルト時代
感想投稿日 : 2010年1月3日
読了日 : 2007年1月1日
本棚登録日 : 2007年1月1日

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