ハードカバー版で既読。父の火遊びにより、出来てしまった、異母兄弟の貴子と融。高校生活最後の歩行祭で、二人が抱える秘密を解くために、ある決意をしたという話。
たった二日しかない歩行祭で起こったドラマが濃密に描写されているんだと感じた。
歩行祭が自分が経験した中学時代の強歩大会を思い出した。そこには、クラスメートと一緒に汗水流してゴールを目指す姿、ゴールした時の達成感が蘇ってきた。
このことは、一瞬なのに、後から思い出すと、記憶が思い出されるというふうに感じた。あの時は、無我夢中でやっていたのに、終わりが近づくと、名残惜しさが残るという感じだ。
夜歩くことが、こんなにも特別なことなんだろうーきっと、普段言えないようなことがふっと出てきたり、一夜を過ごすことで、その人の見えない部分が見えたりするから、新たな一面を発見出来るからだと思う。ああ、この人には、こんないいところがあるんだというのもわかったりする。このことは、修学旅行などにも言えるだろう。
日付が変わり、貴子と融が二人で歩いて、お互いに言えなかったことを言って、今までの蟠りが取れ、清々しさが感じられた。
清々しい達成感の中に、切なさも混じっていたと感じた。ゴールまでの道のりで普段話せないようなことが話せたり、バカ騒ぎやったり、まだかまだかと思いつつも、諦めずに歩き、ゴールした瞬間は、ひたむきさ、友情、絆、誇らしさ、達成感でいっぱいだと感じる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
作者 あ行
- 感想投稿日 : 2014年10月29日
- 読了日 : 2014年10月29日
- 本棚登録日 : 2014年10月23日
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