「余命3カ月」のウソ (ベスト新書)

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  • ベストセラーズ (2013年4月9日発売)
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簡単に「余命3ヶ月」と言う医者は、誠意がないか、知識がない、あるいはウソをついています、余命3ヵ月のウソに、これからメスを入れます。なぜ、余命宣告は短めなのか、ひとつには、患者さんが万一早く亡くなられた場合に、家族などからとがめられないように、つまりリスクヘッジのために、最悪の場合を想定して伝えるから。「がんは個人差が大きい、こんなに長生きしている人もいますよ」と正しく伝えると、患者さんを治療に追い込むには、迫力に欠けます、それで「治療しないと余命3ヵ月」とキッパリ短く言いきったり、ひどい医者は「放っておくと明日、亡くなってもおかしくない状態」などと脅しにかかるわけです、なぜ、そうまでして治療をさせたいのか、治療をしないと医者としての仕事がなくなって、暮らしていけないからです。がんの病巣が大きくなるスピードは、患者さんによって全く異なります、だから余命を正確に判断するためには、増大スピードを調べる必要があります、その観察に、3ヵ月以上かかります、なぜなら、がんは意外にのんびり屋だからです。人間の一生にたとえるなら、がんが発見されるのはシニア期、10~30年もかけて、ようやく1センチに育ってきたがんのの増大スピードを調べるには、少なくとも数ヵ月の観察が必要です。スーちゃん(田中好子)の場合は、最初に乳がんと診断されてから19年目に、肺や肝臓へ転移が見つかり、あっという間に命の灯を吹き消されてしまった、僕が今まで数千人の乳がん患者さんの経過を見てきた中でも、数百人にひとりという特殊なケースです。がんは苦痛等の症状がない限り、治療しないで様子を見るのがいちばん快適に長生きできる、この「がん放療法」は、世界で最も新しいがんの治療法であり、最善の対処法と確信しています。胃がんの長経が9センチになり、腹膜への浸潤・転移も見つかりました、ところが、Cさんの日常生活をさまたげる症状は、なにも出ていなかった、胃袋は大きくて伸縮性があること、がんが胃の入り口や出口から離れていたことも幸いしたようです、すると9センチに育っても、ふつうに生活できる、こういうケースは、胃がんではそう珍しくないんです。治療法が無かった時代には、どんな臓器のがんでも、死は穏やかなものでした、がんが恐ろしい病気と思われているのは、がんの治療のせいです、無意味な手術や抗がん剤治療がもたらす、生き地獄が恐ろしいのです。僕なら患者さんに、「再発ですが、それだけ元気なら、すぐ亡くなることはありません」「ただ6ヵ月ぐらいたつと、亡くなる方も少し出てきます」「そして月日がたつに連れて亡くなる人が増えていきますが、ある日突然、全員が亡くなるということはありません」「5年、10年と生存する人も少ないので、そちらになるように努めましょう」「がんを治療せず放置している、僕の患者さんたちは、悪名高いスキルス胃がんであっても、1年から10年近く生きています」などと伝えます、そう、数ヵ月から10年以上に及ぶほど、余命の幅は長いんです。現実には、生存曲線などのデータを見せたり、さまざまな治療法のメリットとデメリットを客観的に説明してくれる医者は、ほとんどいません、なぜか、もし見せたら、日本人のがんの9割を占めるがん……胃がん、肺がん、大腸がん、子宮がんのような「かたまりをつくるがん」は「治療をしても、しなくても、生存期間は変わらない」「延命の可能性は、むしろ無治療のほうが高い」ことがバレてしまうからです、それが広く知れわたったら、がんの切除手術や抗がん剤治療を望む人はほとんどいなくなり、医者の生活が成り立たなくなってしまいます。同じ量の放射能を浴びても、「発がんバケツが今どのくらい満たされているか」で被爆量は同じでも「発がんする、しない」に違いがでます、ですから、放射線量による発がんの基準値を決めるのは、とても難しいんです。がんの早期発見、早期手術をすれば助かるというのはまやかしなのです、あとになって「がんもどき」が転移することはほぼありません、なぜなら、がん細胞の大きさは約100分の1ミリ、本物のがんなら、病巣が直径1ミリぐらいになる前に転移し終えてしまうからです。医者のすすめるがん治療のウソを見抜く、9つの心得をまとめてみます……①元気なのに「余命3ヵ月」「余命半年」はありえない、②人はがんで、すぐには死なない、③健診を受けない、受けても忘れる、④リンパ節まで切り取っても、がんは治らない、⑤健診で受ける放射線量に要注意、⑥治療法がひとつ、ということはない、⑦セカンドオピニオンは、違う病院の違う診療科で、⑧「免疫力」よりも「抵抗力」、⑨無治療が最高の延命策。たったひとつしかない自分の体、自分の命です、医者の言葉に惑わされず、自分の頭で考え、自分の意志で判断することです、がんに限らず、医療では、治療自体は医者にやってもらう必要がありますが、治療方針まで医者に選ばせる必要はないし、指図される筋合いもありません。欧米でがん健診がすたれたのは、くじ引きでグループ分けした比較健診の結果、健診をしても、しなくても、死亡率はほとんど変わらないという結果がでたからです。がん検診で本当にがんを治せるのなら、何百万人が健診を受けている日本では、がん死亡数は欧米に比べて激減していなければならないのに、激増しています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 体調管理
感想投稿日 : 2013年8月25日
読了日 : 2013年8月25日
本棚登録日 : 2013年8月25日

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