超恋愛論 (だいわ文庫) (だいわ文庫 D 44-3)

著者 :
  • 大和書房 (2012年10月12日発売)
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本棚登録 : 193
感想 : 18
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漱石先生の作品が書かれている、ということで知人から借りた本。

漱石先生の作品と、明治という時代の男女の恋愛がどのような特殊性をもっていたか、の批評(とまでいかないけれども)は合点のいく内容であった。特に、漱石作品のなかで“三角関係”の恋愛模様が多いこと、その根底にあるものは、明治時代において西欧を目指しながらも西欧のような男女関係にはなれなかった当時の人間関係。つまり、「言えない」ことが男女の三角関係を更に複雑化させ、もうどうにもならないところまで追いつめられ三すくみの状況にまで陥ってしまう(その結果として、漱石の代表的作品『こころ』では、2人も自殺をしてしまう)。

また漱石作品の同性同士の関係性、お互いの気持ちのあり方が非常に強く、親密であることも漱石の資質抜きにしても、当時の社会性を表しているとの言説も共感する。

一部共感出来ない部分もあったが、漱石先生の作品をその時代背景と照らし合わせ洞察していることは興味深い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論・批評
感想投稿日 : 2014年2月11日
読了日 : 2014年2月11日
本棚登録日 : 2014年2月11日

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