さすがに、ガリア戦記のカエサルはおおいに読ませてくれる。塩野七生の「ローマ人の物語」シリーズ「ユリウス・カエサル」(文庫本)はルビコン以前、ルビコン以後を各々上・中・下に分け6冊になっているが、現在4冊目を読み進んでいる。
著者自身、本書に記すように、西ヨーロッパの都市の多くがガリア戦記に描かれたローマ軍の基地を起源としていることがよくわかる。後年、カエサルは、退役する部下たちを、現役当時の軍団のままで植民させるやり方をとったから、彼らが軍務で身につけた土木・建設の技術力に加え、共同体内部での指揮系統まで整った形で都市建設をはじめることになり、彼らのまちづくりが、二千年後でも現存することになった、という。
古代ローマを中心にしたヨーロッパの形成が絵巻物世界のごとく綴られてゆくのを享受する醍醐味はなかなかのものだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
評論-2/歴史.宗教.民俗系
- 感想投稿日 : 2014年4月30日
- 読了日 : 2005年11月1日
- 本棚登録日 : 2010年10月15日
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