キラキラネームの大研究 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社 (2015年5月16日発売)
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本棚登録 : 386
感想 : 60
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本屋で見かけて衝動買いしました。確かに、最近の親のネーミングセンスってすげぇとんがってるなと思ってたんですよ。

しかし、読んでいるとどうもモヤモヤする。論のキレが悪いし、著者の提言にしてもそうですが全体的に何を言いたいのかなかなか要を得ない。「キラキラネームって結局何?」ということが知りたくて手に取ったのに、「いやぁ、それについて調べてみたら、どんどん漢字の深い森にね……」と言われたって、困ってしまいます。

それでも、私なりに何とか要点を拾い出してまとめてみました。

・キラキラネームにはパターンがある。
・キラキラしたネーミングセンスは何も今に始まったことじゃない。
・「漢字本来の字義の無視・忘却(「感字」化)」が今日のキラキラネームを生む土壌であり、そこには日本の国語政策も加担している。

以上三点がこの本の主題でしょう。そして、私も抱き、筆者も抱いたであろう「キラキラネームに対する違和感」は、

1、世代(当用漢字第何世代に属しているか)
2、教養(漢字本来の字義をどれだけ理解し大事にしているか)

の違いに由来するということのようです。

まぁ、分からなくはありません。「名づけにまつわる日本の漢字文化」という点でなら、この本はよく調べているように思います。私も知らなかったことが多かった。
しかし、何か釈然としないものが残ります。何だろうと考えたのですが、結局「キラキラネームはアリか/ナシか」ということにそもそも私は関心がないということに気づきました。むしろ、「『DQNネーム』という明らかに蔑称である言葉でもって、人様の名前に口出ししたくなるような精神構造がどこからくるのか」ということを私は知りたいんだと。
その点では、「日本は言霊の国だから……」程度の話が出たくらい。あまり参考にならなかった。

私自身は、違和感は感じるものの、人様の名前にどうこう言いたくない。端的に、余計なおせっかいだからです。どんな名前だろうと、一応、親の子に対する願いが詰まった大切な贈り物ですからね。「DQNネーム」という言葉には「こんな名前をつける親の神経を疑う」というニュアンスが含まれます。だから、親の子に対する願いに勝手に口出ししているような気持ち悪さがあって、私は嫌なんですよ。「キラキラネーム」と言い換えたところで、どうかなとも私は思うわけです。
生まれたばかりの子どもに最初に与える「名づけ」は間違いなく親の責任です。ただ、一度自身に名づけられた名前をまた自分で「名づけ直す」のは、子どものほうに権利と責任があります。「光宙」くんだろうと「悪魔」ちゃんだろうとそれは変わらないはずで、そういう手続きだって法的に出来ない訳ではない。
とにかく、「『感字』でなく、漢字の本来の意味を大事にしよう」というのは確かにその通りかもしれませんが、もっと別に問うべきことがあるように感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2016年2月11日
読了日 : 2016年1月3日
本棚登録日 : 2015年5月31日

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