何度か思い出したように手に取ったりパラっと読んでみたりばかりでしたが、昨日今日と思い切って最初からパラパラと読んでみました。
アドラーを読んだら次はコレだなと思います。改めてですが、フランクルはフロイトに学びつつ、アドラーの弟子でもあるのだなと感じさせる内容でした。
ただ、フランクルの言葉が圧倒的な重みを持って響いてくるのは、やはり彼自身の潜り抜けた限界状況、つまり「強制収容所」の生活というのがあるからでしょう。『夜と霧』でも半分以上の紙面を収容所の体験に割いていますが、この本でも収容所の体験が多く引かれています。
素晴らしい言葉は沢山散りばめられているのですが、一つ印象に残ったところを挙げるなら、「不治の病を抱えた患者はこの世に生きる意味がない、殺すべきだ」という意見に対して徹底的に反駁を試みるフランクルの姿です(第2章)。
おそらくフランクルは、当時の安楽死の議論の中に、精神病棟での悲劇の根本、ひいては強制収容所そのものを生み出した根源的な誤解・偏見・差別を見ていたのでしょう。だからこそ、そうした邪見に対して身を投げ出して敢然と立ち向かわなければならなかったのだと、そんなふうに読みました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
学術書
- 感想投稿日 : 2017年8月17日
- 読了日 : 2017年8月17日
- 本棚登録日 : 2017年8月17日
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