一時、本屋にたくさん並んでいたのを覚えていたので、古本屋で手に取った一冊。あれだけ騒いでいただけあってなかなか衝撃的な物語だった。読み終えたときには読み始めたときと全く違う小説を読んだような不思議な感覚だった。始めから伏線や物語の展開を全く予想せずにどっぷり感情移入して読んでいたので、それも功を奏してすごく楽しめた。この本についてどこかの解説で読んだとき、この著者の作品は動作に対する描写が細かく、「読む映画」だという意見があったが全くその通りだと思った。しかも細かい動作というのは、暴力的なシーンや物語の中核を担うシーンではなく、ちょっとした所作に多く含まれていた気がした。物語にはあまり関係のない描写が細かいからこそ、映画を見ているような気分になるのかなと思った。こちらもなかなか残酷な物語のようだけどヴェル―ベンの過去の物語である「悲しみのイレーヌ」も読んでみたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年6月6日
- 読了日 : 2017年6月5日
- 本棚登録日 : 2017年6月6日
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