本書は言語学者である三上章による、日本文法における「は」に関する自説を解説したものである。初版が1960年と古いが増版、増刷され続けている書籍である。
本書では日本文法論に見られる「主語不要論」の立場において、係助詞「は」の働きについて、「文全体の題目を表し、かつ格助詞『が・の・に・を』を代行するものである」としている。
確かにこう考えることにより、英語に直訳すると意味不明になる、「は」を使った文章を (英語的に) 自然な形に言い換えることができる。しかし、現在のところ、この三上文法は主流ではないようである。その理由としては、その代行の解釈がややアドホックであることと、これを生成文法 (正しい日本語の文が作れるような形式的規則) として捉えることが難しいからではないだろうか。三上文法は寺村秀夫に受け継がれたようなので、そちらもぜひ勉強してみたいと思う。
内容は非常に面白いが、文体にやや癖があるので読みにくく、★4つとする。
読書状況:読み終わった
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ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2014年7月2日
- 読了日 : 2014年7月1日
- 本棚登録日 : 2011年11月24日
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