憲兵という主役には取り上げられない仕事についていた人間を主人公にした物語。
長い話だが、そもそも対象となっている期間が昭和45年から47,8年ということと、適度に現在と過去がフラッシュバックする
構成もあって、飽きることなく読み進められる。
主人公は戦時における憲兵という仕事柄、非道なことにもかかわるが、実はそれを思い悩むことはあまりない。
そこらへん作者が医者であるということもあるのだろう。作中にも出てくる事件で、遠藤周作は、主人公が悩んで悩んで悩みまくっちゃうという
「海と毒薬」という傑作を書いているのが、本作はそこまでの高みに達していないというか、そもそもそれを目的にしていない。
いずれにせよ第二次世界大戦時の憲兵や戦犯について入念なリサーチがなされたということが分かる良作である。
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2009年6月27日
- 本棚登録日 : 2009年6月27日
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