ミランダ・ジュライは映画の脚本に煮詰まっている時、定期的に届くフリーペーパー「ペニーセイバー」に片っ端から目を通して現実から逃避していた。ペニーセイバーは「売ります!」のコーナーがあり、ふと皮のジャケット10ドルを売りに出している、この人がどんな風に日々を過ごしているのか、何を夢見て、何を恐れるのか知りたいと思った。
そこからインタビューが始まった。
そんな風にしていろいろな人に話を聞く。家の庭でウシガエルのオタマジャクシを育ててる高校生男子、他人の写真アルバムを買うギリシャ移民の主婦、足首にGPSをつけられた、子供向けの本を売る男。フリーペーパーに記事を出すということは、今時ネットやSNSに繋がることをしない人、できない人。そこ、に行かないと会えない人たちだ。
いろいろな人と会う中で、ミランダの人生も流れている。この何人かへのインタビューは時系列になっている。それにはきちんと出会う順番があるからだ。うまくいかなかった脚本、夫との生活、子供はいつ作るのか。次の映画はできるのか。
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「5年経ったら、わたしたち40よ」
「40なんてほとんど50だ。50を過ぎたら、あとはもう小銭だ」
「小銭?」
「本当に欲しいものを手に入れるには足りないってことだよ」
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ひとりひとりが自分の人生の主役で、その人生にはいろいろなことがあって。当たり前だけど、わき役として生まれてきた人はいない。
40を過ぎたら人生は小銭だと思っていた彼女が、こつこつと未来を作り上げる。ぜんぜん人生に小銭の時間なんて無いんじゃないか。
この時に作り上げた映画「ザ・フューチャー」が観たい!できれば劇場で観たかった。
人に会って話を聞きたくなる本です。あなたの人生で一番幸せだったのはいつですか?
- 感想投稿日 : 2023年4月2日
- 読了日 : 2023年4月2日
- 本棚登録日 : 2023年4月2日
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