友人から今話題になっていると聞いて、久しぶりに漫画以外の本を手に取ってあっという間に読んだ。
九州の大牟田から親に反対されながらも、漫画が描きたくて、竹宮先生の誘いに背中を押されて上京した萩尾先生。
2年間の大泉の始まりは三島由紀夫の割腹自殺のニュースと共に…という始まりが、私の母もその時代九州から出てきて市ヶ谷の近くに勤めていた話を聞いた事があったので、時代の空気感が頭の中で補完されとても興味深く物語に入れた。
24年組と呼ばれる周辺の漫画家さんの作品はそこそこ読んでいて、山岸涼子さんの作品が妖しくも怖くて小学生の頃最初に触れた作品だった。
萩尾望都や大島弓子はこの本の話をしてくれた友人から大学の時に教えて貰った。竹宮惠子もその流れだったと思う。
花郁悠紀子は波津彬子から知り、一作だけ見つけて読んだ。
私も90年代のなかよし、りぼんの少女漫画雑誌全盛に育ったので、漫画家になりたい人生だった。
そんな思い出がつらつらと思い出されながら、竹宮惠子とプロデューサーの増山氏、萩尾望都の出会いと別れ、別れの後の流れを知り、若い日の人間関係や嫉妬のトラウマも思い起こされ、もう関わりたくないと蓋をしようとする気持ちや相手を配慮しながらも逃げる事で自分を、自分が大事だと思う仕事を大切にしたい気持ちも共感できる部分があった。
うまく言えなかった事も今ならいえるかもとか、でももうそれをする必要性もないって言う…。
私は全くリアルタイムの世代じゃないし、全作読む程ファンでもない。
でも漫画はずっと子供の頃から読んできて萩尾望都のポーの一族は1番と言って良いくらい好きだから、特別な存在。
対して竹宮惠子は風と木の詩を飛び飛びでたぶん放置しているし、読みたいと思いつつファラオの墓もまだ読んでない。
しかもちょっと出版の経緯や内容紹介を受けて気になって読んでるから、2人の関係性に格別ショックもなく、萩尾望都の葛藤や苦しい気持ちに少し辛くもなったけど、読み物として一時代の歴史として興味深く楽しんでしまった。
少年愛に対する考えや紹介される作品も海外旅行や漫画の史料の話もとても面白かった。
竹宮惠子の少年の名はジルベールもいつか読んでみたい気もする。
- 感想投稿日 : 2021年5月3日
- 読了日 : 2021年5月3日
- 本棚登録日 : 2021年5月3日
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