構造について、経験知・体験知を大切にし、総合的に考える力を養うことの大切さ、そしてそれを翻訳するデザインという行為を行うにあたっての姿勢が語られている。
多くの例が挙げられており、わかりやすいだけでなく、具体的なレベルから理解を深めることができる。観念的なものばかりに触れつづけて、鈍ってしまっている部分が研ぎ澄まされていく感覚であった。
本当の意味での建築的な価値とは、「技術と芸術が結び合ったその時代の精神の表れ」のことであり、技術や表現が新しければ新しいほどそれを人間に結びつける深い思考と強靭な精神が必要になる、という内藤氏の言葉からは、最近よくある空間ではなくかたちのみを想像させる建築(っぽい何か)のあり方についての強い疑念を感じる(本文中でもそう言われている)。
自分の建築に対する姿勢はどのようなものなのか、ということを確認できる本。学生のうちに、それも若いうちに読むことがすすめられるだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
建築
- 感想投稿日 : 2015年8月14日
- 読了日 : 2015年8月14日
- 本棚登録日 : 2015年7月22日
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