『すてきな三にんぐみ』の青に惹かれた私は本書の青がとにかく見てみたい!というのが動機で読んでみた。期待通り美しかった。
本書は、作者が比較的晩年に書いた本で、戦争のことを伝えるために書かれた『オットー』と対をなし、平和のことを伝えるために書かれた、と理解している。
主人公のあおいくもは独立心が強く、群衆の同調圧力に屈することがなく、その自由気ままさは周りを感化させる力を持つ。
黒と白と赤と黄色の人間たちが互いに殺し合うのに心を痛めたあおいくもの力で、みんな青色に染まり、平和に暮らすようになる、という筋。
「みんな青色に染まる」というのは多様性を尊重していなくて嫌だという感想も目にしたけど、「みんな違いはあるけど、根本的には同じ人類だよね。みんな同じ仲間だという前提をまず共有した上で、その中での違いを尊重していこう」ということなんじゃないかな、と個人的には思った。
分かりやすい絵本かと言うとそうではなく、「どういう意味だろう?」と考察が促される一冊だった。
ウンゲラーらしいユーモアなディテールも織り込まれている。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵本
- 感想投稿日 : 2022年9月17日
- 読了日 : 2022年9月17日
- 本棚登録日 : 2022年9月17日
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