タイトルに惑わされず、良い人間関係を築きたいすべての人にオススメできると感じた本!
読んでみてまず印象的だったのは
高機能自閉症である「妻」が私とそっくりだったこと。
(夫に貸してみたら、確かに似てる!と)
私の場合は(調べたことはないけど)自閉症の傾向は恐らくなく、よって成長の過程で克服したこともたくさんあるのだけど、
・言葉の扱いに敏感で
・電話でのコミュニケーションが苦手
・数字に極端に弱い(「妻」ほどではないが。)
・直接会っての会話より、メールなど文字ベースのほうが圧倒的に得意
・パートナーである「夫」へのコミュニケーションのとりかた
・心の状態によっては聴力が敏感になりすぎてしまって大切なことがかえって聞き取れない(これは最近はほぼなくなったけど)
などなど、心から「わかるなぁ・・・」の連続で、
ときには妻と一緒に涙ぐみそうな場面も。
例えば、夫婦間で意見が対立してこじれる、つまり夫婦喧嘩について
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(妻の主張する)お互いの意見をぶつけ合って考え方の違いをはっきりさせ、納得いくまでとことん話し合って問題を解決する、といった方法は、どうも僕にはぴんとこない。どちらかというと、ムダな対立は避けて、時間が解決するのに任せるほうが自然な流れだと思う。
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という夫側からの記述があるのだけど、私にとっての大切な人とのケンカも、時間に解決してもらうなんて曖昧な流し方は絶対したくないもの。
完全に「妻」側の意見に同意だし、自分の夫がこんな態度を見せたらそれこそ追及しまくってしまうだろうと思う。
自閉症の人の特徴として、
・人の顔色や空気を読むといったことが極端に苦手(できない)
といったことがある。
先述のケンカのくだりについても、「妻が言葉に厳密すぎる、空気でコミュニケーションできない」点についてのエピソードとして紹介されているのだけど
私からしてみれば、それは自閉症だろうが何であろうが
大切な人とのコミュニケーションにおいて
「見たらわかるでしょ」
「それくらいわかってよ」
というのは単なる甘えや依存なんであり、
真剣に良い関係を築きたかったらお互いきちんと言葉にして伝えあうべきなんじゃないかと思うのだ。
以心伝心というのは、そうやって言葉や行動を尽くした上での、小さな奇跡、プレゼントみたいなものなんじゃないかと。
つまり、本書に書かれていることは
「自閉症という特殊な特徴を持つ(エイリアン)である人と、(地球人)である人の共同生活」に限定されるものではなく、むしろ
そもそも別人格である二人の人間~特に夫婦~が心地よい関係を築いていくにあたっての普遍的なプロセス
に他ならないのではないかと、強く感じた。
ちなみに、
私の場合はむしろ「他人の顔色が気になりすぎる」傾向があるため、その点については自閉症の特徴からかけ離れているのだけど
にも関わらず「似てる」理由について。
それは多分、人が持つ様々な要素の中でも、「言語能力が特に高い」ということに起因するのではないかと。
本書の「妻」の言語能力の高さは、その実績からも、検査結果からも明らかなのだけど、
私自身も、思考・コミュニケーションなどに関して、言語に頼る部分が他の要素(例えば感情や常識など)に頼る部分よりも高いと自覚していて、
そこが似てる理由かなと思った。
- 感想投稿日 : 2010年9月13日
- 読了日 : 2008年9月4日
- 本棚登録日 : 2010年9月11日
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