2012.10.2.tue
【経由】
ぺりこさん推薦
【メモ】
廃村にひとり残された老人が孤独と死を最期まで見つめる話。
【感想】
•ぺりこ氏にエリック•サティのクラッシックも借りていて聞きながら読んだのだけど、「ジムノペティ」「ひからびた胎児」がまさに本著のイメージどおりで、淋しくて何故か美しい作品だと思った。
•前からただでさえおじいちゃんと犬には弱いので、雌犬の無垢な瞳に耐えきれなくて云々の描写は辛かったよ…
•狂い咲いたりんご、その液体を受け継ぐじぶんの描写にゾクゾクするものがあった。
•文中に「黄色」≒朽ちていくものがよくでてくる。表紙の色彩がまさに内容にぴったりで、色彩のイメージが強く残る。
•孤独を悲劇的に描くのではなく、ただその廃れ淋しい様をありのままに表す文体。
【発見】
•お芝居が好きなので、物語の展開を求めるところがじぶんにはあるけど、本著みたいな概念を見つめる作品も好きなんだなということ。ただし文体による。安部公房のような毒を含むと長編にわたって概念を見つめるのはやっぱり好きではないかもしれない。(興味深いからなんやいうて読んでしまうのだけど!)
【共感】
誰からも忘れられたらそれは「死」と変わらないということ。
生きていることが実感できなければ人は無気力になってしまうこと。
犬の目に「生」を確かめてしまうこと。
【あとがきについて】
著者が批評することが嫌いで、批評することで作品がよりよくなる訳ではないという考えがあるということを知って、だからこんなにニュートラルにできごとを物語れるのかなーと思った。
それについてはわたしも悩むところだけど、批評することで頭の整理、自身の嗜好の分析ができるので、「この作品が面白いのは何故なのか。どつやったらもっと面白いか」という目はもっておこうと今は思う。
- 感想投稿日 : 2012年10月3日
- 読了日 : 2012年10月2日
- 本棚登録日 : 2012年10月2日
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