自分の経験とさまざまな故事などを仕事と絡め、架空の甥に語りかけるという体裁をとっている。ご自分の経験が織り込まれているから、とてもしみやすい本だと思った。
その中に、ケント・M・キースという人の『それでもなお、人を愛しなさい 人生の意味をみつけるための逆説の10か条』に収められた言葉が出ていた。
「
人は不合理で、わからずやで、わがままな存在だ。それでもなお、人を愛しなさい。
何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。それでもなお、成功をしなさい。
今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。それでもなお、良いことをしなさい。
正直で素直なあり方はあなたを無防備にするだろう。それでもなお、正直なあなたでいなさい。
最大の考えをもった、もっとも大きな男女は、最小の心をもった、もっと小さな男女によって打ち落とされるかもしれない。それでもなお、大きな考えをもちなさい。
人は弱者をひいきするが、勝者のあとにしかついていかない。それでもなお、弱者のために戦いなさい。
何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。それでもなお、築きあげなさい。
人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。それでもなお、人を助けなさい。
世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちをうけるかもしれない。それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。
」
という十条。読んだことがあった。でも以前はこの十条を読み、どんなメリットが?と思っていた。
今回読み返して、そんなふうに思わなくなっていたんだよね。
メリットはないかもしれない。
「それでもなお」
この気持ちはけっこう大切だよ、
と思うようになっていたんだ。
理屈はない。
感覚的なものだ。
いや、文章にしようと思えば、いろいろできるのかもしれないけど、言葉にすると欠けてしまうものもあるような気がする。
同じ文章でも、年齢がちがうと感じるものもかわってくるんだな。
それを実感できる言葉だった。
今はただ、この10条をよんで「なんかわかるな。そういうものだよね」と不思議と素直にうなずけるんだよね。
- 感想投稿日 : 2022年6月24日
- 読了日 : 2022年6月8日
- 本棚登録日 : 2022年6月8日
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