人が死なないミステリーもあっていいじゃないか。
この作品のような小説に出会う度、思う。
しかもこの小説は二段構え。
この小説の中にはさらに『ななつのこ』という別ストーリーがパラレルに展開していて、これがまた懐かしさを誘う。
以下、駒子の日常の方の「ななつのこ」各短編の概要で、特に僕が気に入っているのは⑥。そして、③、④も好み。②は衝動的に目の前の女の子の三つ編みを引っ張ってしまった40年以上前の苦い記憶を思い出させてくれるなぁ。ああ、胸が痛い。
小説として、全体の構成が素晴らしい。
①スイカジュースの涙
ベビーカーとすれ違ったあとに気づいた、道路に点々と続く乾き切らない血痕。
②モヤイの鼠
個展会場で絵画『悠久の時間』の出っ張りに触れたとたん、ポロリ。・・ああ、痛い。
③一枚の写真
6年の時のクラスメイト一美が8年近く経って、私のアルバムから取った一枚の写真を返してきた。
④バス・ストップで
ささやかなロマンスの香りを孕みつつ、おばあさんとお孫さんの心温まるレジスタンス。
⑤一万二千年後のヴェガ
デパート屋上の巨大なブロントサウルス、一夜明けたら30km離れた保育園にいて・・・。
⑥白いタンポポ
低学年のサマーキャンプで真雪の担当となった駒子。人見知りの真雪が不愉快でなかったのは。
⑦ななつのこ
再会した真雪がプラネタリウムが終わると消えていて・・・。
○追伸
駒子のファンレターの相手、〈佐伯綾乃〉の秘密が分かってからの後日談。
またも、フォロワーさんの本棚・感想にあった一冊にこの一週間、堪能させられた感じ。
次は何とか、自力で一冊、面白い作品を嗅ぎ当てたいもの。
兎にも角にも、ありがとうございました。
- 感想投稿日 : 2021年12月23日
- 読了日 : 2021年12月23日
- 本棚登録日 : 2021年12月23日
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