「とこしえなる天の力によりて。
モンゴル語の書簡は、この定型文ではじまる。」
蒼き狼の血脈は、"蒼き狼"チンギス・カンの孫、バトゥが中央アジアに広がる広大な天の下で躍動する物語である。
バトゥはキプチャク草原から西へドナウを渡り、ハンガリーに至るまでモンゴル帝国の領土は拡大した男であり、ジョチ・ウェルス(キプチャク・ハン国)の実質的な創設者である。
本書は、中央アジアから東ヨーロッパへとモンゴル騎馬軍団の戦い、次期カンの座を決めるクリルタイを前にして行われる権謀術数、「蒼き狼の血脈」はモンゴル帝国拡大の歴史を鮮やかに描いている。
モンゴル第4代皇帝モンケをはじめとした人物描写はさることながら、物語の展開の速さ、巧みさはまさにモンゴル騎馬軍団さながらであり、読者の耳には馬蹄の音が響き渡ってくる。
文句なしの評価☆☆☆☆☆
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2010年1月28日
- 読了日 : 2010年1月28日
- 本棚登録日 : 2010年1月28日
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