消費財メーカーに勤めている身として、本の中で最も興味のあるテーマは、p61の日本企業は「右肩上がりの経済を前提とした『途上国モデル』」から『成熟国モデル』における事業計画や経営システムへと移行する必要がある、という指摘だ。
これはまさに「クオリティ国家」のコンセプトと相通じるものがあると思うが、
・安易な価格競争に走ること無く、
・また、その裏返しである「スペック」競争とも一線を画して、
いかに「人々が潜在的に欲しいと思っているものを見抜いて提供」できるか。
その点においてp80の、スーパーの経営者は…ひいては企業の経営者は…「『自分たちの顧客とは誰なのか?』『彼らは何を求めているのか?』という原点に立ち戻るべきだと思うのだ」という指摘、
そしてそれを考える際の具体的な手法であるp170の「戦略的自由度」の考え方は今一度…マーケティング担当者の端くれとして…肝に銘じたい。
戦略的自由度を考える際、最初に問うべきは「目的は何か?」ということ。
「お客さんは何を求めているのか、つまり、お客さんがその商品を買おうとする意思決定をする時に最も重要な要素は何か?」ということを最初に考える。」
「そして次に、その目的を実現するための方法を調べ」、打ち手の方向(軸)を考え、「その中で一番コスト効率がよく、お客さんにとっても一番インパクトが大きいものを考えていく」。
ともすると、既存の機能のスペックを上げ、かつ、新たな機能を加え、価格を下げる、などという方向に我々はつい考えがちだが、それは「途上国モデル」つまり経済・市場のパイが拡大している状況であればまだしも、お客さんか望んでいない部分でのコスト増となり、売上は増えず、成熟国・成熟経済の下では自分で自分の首をしめていくことになりかねない。
心して、大前塾長の言う「原点」に戻ってビジネス、マーケティング、商品開発を考えたい。
- 感想投稿日 : 2013年3月10日
- 読了日 : 2013年3月10日
- 本棚登録日 : 2013年3月10日
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