世界は分けてもわからない (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2009年7月17日発売)
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本棚登録 : 2805
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新年1冊目に読み終わった本は「生物と無生物のあいだ」で有名な福岡伸一先生の本書となった。

入手経路は漫画を売りに行ったブックオフで新書コーナーをぶらついていたら、たまたま目が入ったので100円というとてもリーズナブルな価格も後押し購入をした。

福岡先生は科学の話を物語のように、小説のように、前知識のない人が読んでもとてもわかりやすく書くのが得意な著者である。今回もその力が遺憾なく発揮されている。
本書の話の本題は後半のラッカーとスペクターによる1980年代に起きた科学界の大事件に繋がっている。生物における華々しい大発見がたどった衝撃的な運命のストーリーである。

本書を含め先生の世界観のキーワードは動的平衡である。人間は世界を切って理解するのに長けた(というかせずにはいられない)生き物であるが、実際の世の中はバランスの結果であり、単純に2分はできない。この考え方を改めて知れただけでも本書を読む価値は十二分にあったと思う。

kp
・ランドラフ環(p34)
・秩序の構築には膨大なエネルギーが必要であるが、壊すためならわずかな揺らぎがあればありさえすればよい。秩序は壊されることを待っているからである。(p133)
・グッドラボラトリープラクティス。実験室における良き習慣。ヒトは常に間違える。忘れる。混乱する。だから、それをしないように注意するのではなく、それが起こらないための方法論を考えよ。あるいはミスが起こった時、その被害が最小限にとどまるような仕組みを考えよ(p186)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年1月1日
読了日 : 2017年1月1日
本棚登録日 : 2017年1月1日

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