プロテスタント系の私立女子高校に中学から通う希代子は、高校から入学してきた朱里に夢中になる。
有名写真家を父に持つ自由奔放な彼女と仲良くなって有頂天となるものの、やがてはその勝手さに振り回され、違和感をいだくように…。
クラス内カーストを生き抜く術を身につけ、ささいな優越感と劣等感でお互いをランク付けし合う少女達。
自意識過剰とコンプレックスがないまぜになった思春期の女の子たちを狭い教室に詰め込むのだから、いろんな感情の多重衝突が起こるのは当たり前。
そんな彼女たちの感情の揺れを精緻な動体視力で捕まえ、容赦のないナマの人間の右往左往をみごとに描き出しています。
女子校に通った身としては、彼女達の気持ちが共感できる分、目をそらしたいような、そっと背中を押してあげたいような、なんとも気持ちがざわつくような小説でした。
彼女達が、他人とは完璧に理解し合えないのだと諦念の中でもがきながらも安寧を得ようと努力する姿を、誰も批判はできないよね。
…というのは、かつて少女であった私の、自己愛あふるる自己弁護ですかね。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年12月6日
- 読了日 : 2012年12月6日
- 本棚登録日 : 2012年12月6日
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