タイムカプセルを掘り出すため、26年ぶりに再会した小学校の同級生たち。
かつての少年少女も大人になり、おじさんおばさんになり、責任を持ち、親になっている者も多い。
それぞれの抱える問題、家庭内暴力やリストラ。いくら取り繕っても、見えてくるお互いの事情。
すがれるほど美しい過去じゃない。泣き言を聞いてくれる友人だっていない。
泣きたい大人たちの夏の始まり。
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若さの代わりに多くのものを得て、色んなことを忘れて、大人になる。だれだってそうなんだけど、そこにセンチメンタルな感情を持たずにはいられない。
一期一会とか奇跡とか、いくらでも綺麗な言葉で表せる。友人たちとの繋がり。たとえ何年も何十年も会わなくても、お互いのことを覚えていえばそれでいいような、そんな繋がりの友人たち。いつか彼らに再会できるように生きてるような気がする。感傷的だけど本当にそう思う。
七月の三連休。子どもたちが夏休みに入る直前に始まる大人たちの物語。ちょうどまったく同じ日に読みだすことが出来た。奇跡なんて言葉をつかうのは申し訳ないような偶然。登場する大人たちがスタートの準備をするところで物語は終わる。おじさんになってもまた始められる。おばさんになってもまた誰かを想うことが出来る。
ちょっと出来過ぎた話のような気もしたけど、夕暮れを眺めるような気分で読むことが出来た。
偶然の出会いを楽しみに、またこうやって本を読む。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
重松清
- 感想投稿日 : 2014年7月25日
- 読了日 : 2014年7月22日
- 本棚登録日 : 2014年7月22日
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