あなたが消えた夜に

著者 :
  • 毎日新聞出版 (2015年5月16日発売)
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感想 : 159
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”コートの男”による連続通り魔事件が起こり、死傷者が増えていく。
所轄の刑事、中島と捜査一課の小橋さんが組んで事件の謎に迫るが、警察という組織のしがらみに翻弄されたり、増える模倣犯に惑わされる。
”コートの男”は実在しなくて、一人の主婦を守る嘘だった。そして、その嘘に乗っかるようにして別の男も違う女のために殺人を繰り返していた。
犯人は一人じゃないし、動機も奥が深い。

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売春をネタに強請られていた主婦、横川だけが犯人じゃない!とわかったときはすごくワクワクしたけど、吉高のほうは手記で、しかもそれが燃えちゃってるってのがちょっと不満だったかな。中島さんと小橋さんに謎解きしてほしかった。小橋さん、とてもいいキャラだったし。100ページくらい使って説明された吉高の思想も、燃えちゃったから科原さゆりにも中島さん小橋さんにも結局伝わらなかったってことだよね。うーん、終わり方にちょっとだけ不満かな。

手記のなかでおかしくなっていく吉高が、神様おれを見てないのかって何度もいっているあたりで、バンプオブチキンの『エバーラスティングライ』の歌詞を思い出した。神様も人間一人ひとりを見ているとしたら大忙しだろうな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中村文則
感想投稿日 : 2019年6月22日
読了日 : 2019年6月21日
本棚登録日 : 2019年6月22日

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