ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書 2410)

著者 :
  • 中央公論新社 (2016年12月19日発売)
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ブレグジットやトランプ当選、日本は対岸の火事だと思っていて良いのか?
本著は、ヨーロッパ政治史専攻の比較政治学者さんによる、ポピュリズムについての「冷静な解説書」です。各国でのポピュリズムの勃興について、非常にわかりやすく整理されているので、この1冊だけで知った気分になれます(笑

にべもないコトを言ってしまうと、結局ポピュリズムもマーケティングと一緒で、本著で言う「置き去りにされた人々」は、既存の政党(サービス)がカバーできていなかった層のことで、「そこブルーオーシャンじゃん!」とポピュリズム政党が食いついたと。
当たり前なのですが、グローバル化やらICTの導入やらが進む中で社会構造は変わりつつあって、そんな中で既存政党が今までと同じコトをやっていたらどうしても取りこぼしが出てしまう訳です。
しかし、従来既存政党が綿密にこしらえてきた教条や集票スキームがある中で、それが彼らの足かせにもなってしまって、変わることができず、結果として取りこぼしが出てしまっていた。

それを踏まえ、今後日本ではどうなるか。
大阪以外でイマイチ違いを打ち出せていない維新、主張は尖っているけど任せて良いのかまだ良くわからないN国、それともまた新しい政党が出てくるのか。
本著を読んで感じたのは、「わかりやすい違い」がありつつも、「そこまで尖りすぎた主張はしない(一歩引く?)」ことで、大衆の支持を集めるということ。両者を兼ね備えた存在が出て来た時、日本でもポピュリスト政党が一挙に支持を集めるかもしれません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: なんとなく興味ある圏
感想投稿日 : 2019年11月3日
読了日 : 2019年11月3日
本棚登録日 : 2019年11月3日

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